カテゴリ: デスクトップスピーカーを極める

特徴的な構造を持つ何種かのトランスを準備し一次二次間のインピーダンスを測定し同相ノイズ除去性能差を評価し、つでにSW電源で使われるノイズ除去フィルターコイルの性能もチェックしてみました。

電源トランスは殆ど容量性なので周波数が高くなるにつれ低くなり、ノイズ除去フィルタはインダクタンスなので周波数に比例して大きくなります。
構造を見れば分る事ですが一次二次の接触面積の大きいトロイダルコアの類い(A&D)はインピーダンスが低く、一次二次分割撒き(B&E)は高くなりその差は10倍ほどです。ノイズ除去フィルタ(C)は自己共振周波数を高くするために分割撒きにしてあり1Mhz以上まで使えそうです。

トランス絶縁

Mfのバッフル振動の改善

スピーカーフレームの改造だけでは共振を取り切れないのでバッフルを重く丈夫に又3mmの発泡ゴムで簡易フローティングも加えてみました。
使用帯域は300hz~なので堅めのゴムを使った結果、フローティング部の共振は130hzとなり使用帯域内で概ね1/3に減衰できましたが1kzに小さなピークが残っています原因は分りません。
赤線:オリジナル
緑線:スピーカーフレームをダンプ
紫線:緑線+バッフル重く丈夫に+簡易フローティング

少々共振は残っていますが大きな影響はなさそうなので防振対策関連はこれで最終です。
今回はバッフル板振動のみで評価しましたが実際は磁気回路側の振動を含め共振音圧の最小化を目指すのが良いと思います、面倒なので手出しできませんが。
bufle4cmfront0313  

以下は感度確認用のデータ、距離50cm
赤線:fostexFX120/2way
緑線:本機
FX120の感度は89db/wmなので本機の感度は概ね85db/wm。

感度比較

Lfの箱と床の振動状況を再度チェックしました、文字が殆ど見えないのが苦しいですが。

赤文字は古い木造家屋床の振動で、測定系のノイズ、ゴム足付き、ゴム足なし、です。
普通のゴム足を使ってますが、ゴム足なしに比較すると床振動は10dbほど改善されるようです、もっとストロークの大きな柔らかいのを使えば更に改善できそうです。ただし、多分ゴムと本体が共振してるのだと思いますが、20hz~30hzにかけて、ゴム足付きの方が悪くなる帯域があります。

黒文字は箱バッフル面の振動で、改造前、改造3日後、改造10日後ゴム足付き、改造10日後ゴム足なし、です。
接着材の硬化時間の関係と思いますが、10日後の方は200~400hzに現れるの共振ピークがほぼなくなっています、ゴム足の有り無しの差はほぼありませんが、極低域で若干の差があります。
1200hzにピークが残っています、何処かにまだ共振要素が残っているという事になります。フレームの縦共振に対する対策は行っていませんので、それが原因かもしれません。使用帯域は~300hzなのでXoverネットワーク込みだと殆ど出てこないのでこれで終わりにします。
このデータを見る限り、アルミやカーボンコーンだからと言ってウーファーを高い周波数まで使うのは、たとえコーンが分割振動していなくても、難しい問題が出てくる場合があるのかもしれません。
なお改造前と改造3日後のデータはネットワーク付きなので300hz以上で他より大分低く出てますので注意必要デス。


vibration5

Mfのフレーム共振を更に小さくするべく、フレームの内と外の両面からアルミ板を接着した。

金属や木材などは力に対し非線形で変形するので、コーンの分割振動やフレーム共振のように変形量の多い領域では混変調が出やすく、又内部損失が小さい為Qが高く共振の持続時間が長いので、音質劣化の主要因になります。
今回も弾性接着材をダンプ材として使い、共振の持続時間を短縮する方向で対策してみます。


P2070964

改造前後のバッフル面振動比較データです。
赤茶:改造前、緑:改造3日後、紫:改造10日後、赤:共振がないときの理想値。
対策10日後でも10dbほどのピークが残っていますが大分改善されました、Mfの防振ダンプ構造は十分な損失を与えられる寸法が採れなかった事が原因で、もっと堅い弾性接着材があれば良化できると思います。
測定時の箱を支える位置で結果は変わるので、このデータが全てを表している訳ではではありません。
400hz以上では支える位置の影響は少ないのですが、400hz以下では結果が大分変わるので、そのつもりで見てないと、とんだ勘違いをする事になります。
又580hzと1200hzの様な急激な落ち込みポイントでは、どこか他の場所に高いピークを持っていたりする可能性もあるので注意する必要があります。
mf





Lfも防振対策でフレームを補強ダンプした。
ユニットは30年前のサンスイ32cmでカーボン&ガラス繊維を発泡樹脂でサンドした振動板を採用していて、当時としては先進的な物だったのではないかと思います。
ダイカストフレームですがリブが細く長いので今一だめ、という前提で3mm*10mm*100mmのアルミ板で8本のリブをサンドし弾性接着剤で貼り合わせてみました。
P1300962

Lfバッフル面の振動振幅は以下
オリジナル(赤)改造後(緑)共振のない理想値(青)です。共振がほぼ無視できるほどに小さくなったので少し癖のない音になると思います。接着からまだ3日なので硬化不十分かもしれません来週再度チェックしようと思います。
今回は紙ボイド管を使い完成質量10kgほどに軽量化したので箱共振がどうなるか心配だったのですが、良い感じでまとまりそうな気配になってきました。
この感じだとMfの箱共振も、もう少し改善できそうです、何処をどうすれば良いのかは分りませんが。
Lf振動

32cmのサイズだと紙コーンの場合分割振動が600hzくらいから始まり、それ以上の周波数ではコーンからの反力が激減し、箱やフレームの振動は非常に小さくなります。逆にアルミやカーボンコーンで分割振動が4khzだった場合、4khzまでの箱やフレームの共振が強烈に出てきますので対処が難しくなる場合があり注意が必要と思います。

↑このページのトップヘ