カテゴリ: 60mm自作対空双眼鏡

光軸再現性、内部反射に関して改善の余地はありそうですがここまでで完了とします。
結局対物レンズとカーボン筒の接続はいい案がないのでシリコン系2液で接着しました。
光軸問題はアイピースホルダをコレット式にするしかなさそうですが複雑すぎて手におえません。
初期段階でプリズムの不使用面が内部反射の要因にならないか懸念していたのですがやはり設計を間違うと致命的な要因になりそうです、気になって確認した双眼装置のプリズムに関係する内部反射はアット驚くような状況でした。
これは鏡筒内部反射の様子をアイピースを介して見たところです、上下2箇所に明るく光るプリズムの不使用面の反射が見えます、しかしその面積は小さく致命的ではない感じです。遮光環(絞り)設計の時にプリズムの不使用面も光路図に書き入れ考慮するべきでした、3次元状にある不使用面を平面に展開し遮光設計するのは少し面倒そうですが3次元CADなら簡単にできるのかもしれません。内側の円弧を剃刀状に尖らせた遮光環はうまく機能していそうです、対物レンズ近くの鏡筒内部面反射が少し多いような気がしますのでそのうち修正します。片方のプリズムが原因不明の曇りでしたのでゴシゴシこすって綺麗にしました新品同様で購入したのですが保管状態が良くなかったのでしょうか。この写真では真っ黒に見えますがヘリコイド先端内ネジ部の反射が多かったので植毛紙貼りしてあります。プリズムカバーは白樹脂だったので透過光処理に往生しました、やはり黒がいいです。写真は全体に薄い青味がかっています、目で直接覗くとそれほどでもないので原因の大部分は、おんぼろデジカメのレンズ面反射のせいでしょう、15年も前の骨董品ですからしかたありません。今回内部反射などが要因の迷光がコントラストを悪化させ像全体を白けた色合いにしてしまう事を知りました。作成途中のΦ400mmドブソニアンもコントラストという切り口で設計見直ししてみたいと思います。
 
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最終仕様は以下の様になり、当初考えていたファインダーはやめました。
・手持ち可能なオフセットアミチ方式対空双眼鏡
・対物レンズ60mmF4.4/3枚玉EDアポクロマート
・アイピース31.75mmアイピース交換式
・目幅60~70mm
・本体1.25kg/経緯台0.16kg/三脚0.92kg/19mmアイピース0.24kg/合計2.47kg
・本体全長240mm
三脚を使用しないときは肘掛イスとの相性が良く、低倍率なら水平も天頂も手持ちでストレス少なく楽しめそうです。使った非球面アイピースは目の位置が変わると像がユラユラ歪むので小型のスマイスレンズタイプの方が良いかと思います、そうすれば良像範囲も70%くらいに広がります。色収差はかなり少なく80倍でも問題なく使用できそうでした。
先日オライオンUKから厚さを修正した400mmニュートンミラーが完成するので二三日中には発送する旨連絡がありました、ぼちぼちそちらの受け入れ準備はじめます。

接眼部の偏芯問題が解決しそうもないので取りあえず簡易経緯台の設計と作成を先にやります。
双眼鏡だとカメラ雲台か本格的なフォークが多いのですが今回はその中間の片持ち経緯台タイプです。
ゼロから作ると大変なのでジャンクの小型カメラ三脚を改造します、元ネタはハードオフ500円です。
エレベータ部はウォームギヤのタイプが良いのですが、ないので普通のラック&ピ二オンです。双眼鏡と三脚の組み合わせではエレベータ付きが便利です、両目ですわり心地の良いイスに座ってゆっくり眺める星空はなかなか良いものです。重心は個々の部品質量と重心位置を確認したあと全体の重心位置を計算しますがなかなか精度がでません、今回は双眼鏡の両サイドに厚紙を貼り付けてドライバーを重心位置が出るまで何回か刺し確認しました。このサイズだとアイピースの質量が大きく影響します、取りあえず150g/Pcsの小型品を想定しておきます。今回は鏡筒バンド位置を移動できるので前後方向のエラーは後で修正できます。
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雲台のいらない所を取り外し、サイドに取り付け金具用ネジ穴を開けるだけなので簡単に完成しました。ついでに15cmくらいあったパーン棒?は3cmくらいまで短くしたので少しだけ経緯台らしくなりました。わずかな加工ですが重心位置と回転軸を合わせると、ただの雲台に比べれば格段に使いやすくなります、たぶん。忘れていました、三脚付け根のところがペンチの様に口が開いていてとても危険です、何か考えないといけません、今の時代だとPL問題になりそうな構造です。
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経緯台もどきの反対側です。
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取り付け金具も完成したので全体を組んで見ました。
概ね期待通りの出来具合でした、重心位置と回転中心はバッチリあっていますのでロックなしでどの位置でも双眼鏡が静止します。雲台の回転軸はアルミとアルミの摩擦なので少しゴリゴリ感ありますが我慢です。対物レンズの取り付け案がないので仮止めです、そのほかにも残問題があるので完成はまだ先ですが、この連休の後半に長野に行く予定なので仮免許で試運転してみます。別のアングルから取り付け金具部の写真を撮りたかったのですがカメラの電池がなくなりました。電池といえば787の電池問題なんか変な気がします、問題があり電池を交換したその一日後くらいにその交換した電池が問題を起こす、といった内容だったと思いますが、いくら電池が不出来でも2連続で問題が発生する確率は非常に低いはずです、特定の条件が揃うと必ず発生し、簡単に再現できりる電池以外の原因があるような気がします、B社はその原因をすでに把握していそうな気がしますが浅はかな考えでしょうか。
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 15年前のニッケル水素電池充電完了しました。
取り付け金具部拡大です、t=3mmのアルミLアングルを上下2枚組み合わせ強度を増しています、本体が軽いので強度的には問題なさそうです。
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以降は4月30日加筆
まずいです、グルグル回していたら軸受とシャフトがカジッテ動かなくなりました、元々の雲台は真上に荷物を載せる事を想定しているのに、横に乗せたのがいけないみたいです、アルミとアルミの摩擦なのでしかたありません。
カジッタあとです、かなり深く削れてしまいました。このシャフトはアルミと思っていたのですが亜鉛+メッキのようです。
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この際なので中間軸受けをジュラコンで作ってみました。
完璧です、強度的には問題ありません、ジュラコンとアルミ面の静摩擦と動摩擦の差はかなり少ないのでオーバーシュートがでません、滑らかな動作なので探索が容易になりそうです。50回くらい回転させて見ました、耐久性の問題もなさそうです。「水と油」のように異なる性質の物を組み合わせるのは悪い見本の様に言われますが実はその組み合わせの中にこそ本当に面白い事実が隠されているのかもしれません、違う意見を持った方とも仲良くしてみましょう。
黒い塗装をしたアルミ部品に包まれた白い円柱状のものがジュラコンで作った中間軸受けです。
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ついでにですが、これはこの三脚のエレベータシャフトをロックするネジの先端部分です、8mmの真鍮ネジの先端に黒色の樹脂が埋め込んであります、この樹脂がアルミシャフトに圧着しシャフトの上下動を止めます。アルミ表面にカジリや傷が付かない配慮だと思います芸が細かいです。ここまでやるなら経緯台の軸受けもアルミで作らないで樹脂で作ればいいのにと思います=素人の戯言です。ちなみに私はこれとまったく同じ構造のものを40cmドブソニアン主鏡のサイドサポートネジの先端に使っています、鏡材を傷つけないために。
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遮光環です、0.5mmの黒塩ビ板をフライスで切り抜き内側の縁面を剃刀状に加工後表面を紙やすりでつや消し風にしました。遮光環の設計方法は知らないのですが、一次の内部反射光がアイピースに直接入らない様な構造にしています、又内側に植毛紙を張ってあります。プリズム面をぎりぎりまで広く使ったので一部エッジが見えてしまい少しだけ余計な光がアイピースに入り込んでいるので後で直します。
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遮光環を組み込んだところです、遮光構造の加工は筒の内側なのでトリッキーな方法になってしまいます、長い筒の遮光環の組み立は色々工夫してあるんでしょうね。ところでよくできた双眼鏡で景色を見ると実際に目で見たよりも色彩豊かでコントラストも高くキラキラ輝いているような気がします、あれは何なんでしょうか、根拠はありませんが双眼鏡の分解能、コントラスト、色再現性等の性能が人間の目の性能を上回ると、人の目では見えない像が見えて来るということのような気がします、その意味でコントラスト改善は素人が比較的手を入れやすい部分なのでさらに改善しその効果を見てみたいと思います。
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光軸調整は自作のレーザーコリメータと人工星を使い調整確認しています、市販の筒と違い加工精度が低いので簡単に調整完了というわけにはいきません、何度かトライし、たぶん必要十分な精度で調整できたと思っています。簡単な実視を行った限りでは12倍であれば目幅を変えても光軸ズレは問題ないレベルでした。高倍率で目幅を変えた時の光軸再現性確認はこれからです。先ほど手持ち12倍で夜空を覗いてきました、星の色の違いがよくわかり綺麗な点像でした、月は非常に明るいので周辺がボーと薄明るくなりますが空のせいか双眼鏡のせいかわかりません後でよくできた双眼鏡と比較してみます、周辺の色ニジミはわずかでした、さすが3枚玉EDの実力で。昼間の景色では視野の70%くらいは良像と思ったのですが星を見た限りでは50%くらいの感じで普通の双眼鏡レベルです。最近は双眼鏡もフラットナー付きが多くなっているので将来それも検討してみましょう。対空タイプなので天頂を見ても腕の痺れがなく長時間手持ち観望が可能でした、直視ではないので星を探すのが少し面倒かもしれません。水平の景色を手持ちで見るときの使い勝手は直視に劣りますが、木の枝や大きな石など机状のものがあればそれを台にして高倍率での使用が可能になります。
この時点で全長240mm/質量1450g(19mm非球面アイピース付き)でした。
こんな感じで両手で持ちます。
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今まで気がつきませんでした、左右の光軸が見るものの距離によって変わります、どうもヘリコイドの偏芯が原因のような気がします。少し寸法確認してみました。
ヘリコイド:偏芯0.1/0.25mm、径31.86/31.87mm
アイピース19mmEF19:径31.37/31.48mm
アイピースPL20mm:径31.55/31.6mm
アイピース5mm:径31.67/31.65mm
アイピース3.5mm:径31.7mm」/31.7mm
笠井T双眼装置:偏芯未測定、径31.75/31.75mm
 
bo-具ヘリコイドは偏芯とガタをあわせると像面位置ずれが最悪0.8mm近く発生しそうです。
笠井T双眼装置は径を31.75mmまで取り付け径を小さくしていますがアイピース側の径が大きくばらつくので対策としては不十分な感じです。
変形アリ溝鏡の筒平行移動構造が高い精度で動作していそうなので偏芯とガタ合わせても0.1mm以下にできれば「50倍まで光軸調整なしでアイピース交換可能」が実現できるかもしれません。対策としては、専用のアイピースを設定する、センタリング精度の高いチャッキング方式にするなどでしょうか。宮内双眼鏡も接眼ヘリコイドですが専用アイピスはバレル部にOリングが付いていてセンタリング精度が高そうでした、交換を容易にするためと思っていましたが、今思えばこれも理由の一つかもしれません。背の低いアイピースを使えばOリングだけでアイピースを支えられるかもしれません、そうすればセンタリング精度は高くなりそうです。さらに左右ヘリコイドの偏芯を同期する位置に取り付ければ0.25-0.1mm=0.15mmまで相対的な偏芯量を削減できるかもしれません。そういえばコレット風のチャック構造を持つ双眼装置もありますね。汎用アイピースを使用する光軸調整機構を持たない双眼鏡や双眼装置の接眼部はどんな工夫がしてあるんでしょうね。
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大部分が未完成の部品ですが、取りあえず仮組みチェックしました。
ホルダにプリズムを組み込んだ状態です、外装ケースとの隙間が少なすぎの感じなのでホルダの外形をぎりぎりまで削るのと取り付けネジを1.5mm短くしないといけません、プリズム周辺を小さく作りすぎました、少しは余裕がないと何かあったとき大工事になってしまします。不注意で面を手で触ってしまいました、一様拭きましたが後でカビが出そうです、ここの作業は手袋しないとだめ。
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全景です、赤白黒緑アルミのペンタパンダカラー、一部ガムテープ止めで遮光対策なし、いかにも自作途中の双眼鏡といった趣です。
早速屋外の景色を見ます、当然×像です、泥縄でコリメートチェックしたら光軸がメチャメチャだったので大まかに修正しようやく少し見えるようになりました、F4.4という事もあってなかなかシビアです、3枚玉EDなんだから何とかなってほしい!!以前使ったドライカーボンパイプ(真空加熱整形)は外形精度が0.01mmに近い実力ありましたが、今回のはウエットカーボンのせいなのか分かりませんが内外形が0.3mm位も歪んでいるので対物セル取り付け面を正確に直角カットするのが困難です。これが光軸を正確に出せない大きな要因です、何とかごまかすしかありません。加工精度不足を補う調整構造を一箇所しか設けていないのも問題です。そのためこれから先の光軸調整はカット&トライが多くなり、かなり根気のいる作業になりそうです。普通の双眼鏡は対物レンズのダブルエキセン(2重の変心リング)と三角プリズム部の合計4箇に調整箇所があったと思います。
脱線します:普通ファインダー取り付け金具に光軸調整ネジが付いています、必要な精度は本体鏡筒軸に対し0.1度あれば十分なので普通の屈折望遠鏡に調整機構はいらない様な気がします、0.1度は望遠鏡メーカにとってはオマケ程度の工作精度でしょうから。参考までにドイツT社望遠鏡のファンダーに調整機構はありません。
肝心な目幅調整機構、一箇所だけある光軸調整機構、焦点調整機構、オフセットアミチの光軸シフト動作、の4点に関しては、大きな問題がない事を確認できたのでホット一息です。
この時点で全長240mm質量1500gでした。
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プリズムカバーの加工です
都合で白色樹脂を使います、白は光を透過するのでいやですが手持ちの都合でしかたありません。写真は厚さ115mmのブロックを小型のバンドソーで切断しているところです、樹脂といってもかなり硬いうえにこの大きささなので少々オーバーロード気味です、そのせいかどうかわかりませんが切断途中で刃が折れてました、予備が沢山あるので問題ありませんが。
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切り出したあとはフライス盤で加工します、今まで金属用のエンドミルで切削していたので面が凸凹で寸法精度は0.1mm程度で加工条件を変えてもだめでした。今回試しに木工用ルータビットで切削したところびっくりするくら負荷が軽くなり加工精度も0.02mmが簡単にだせるようになりました。ただ刃先が「ハの字」形状なのでいくらゆっくり送っても深い切削痕が残ます。少し荒っぽいですが刃先をダイヤモンドヤスリで平らに加工しようやく満足できる加工面と加工精度を得る事ができました、素人が自己責任でやる事ですから何でもありです。樹脂用のエンドミルが市販されているのを知ったのはすべてが終わったあとでこざいました、残念。
これは加工する前の「ハの字」形状の木工ルータビットです。
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 これはヤスリで削ったあとの刃先です。
刃先1mmくらいが平らになっています。
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というわけで長年の課題が一件落着し白色樹脂のプリズムカバーが何とか完了したので、以前作った部品と筒を切断した対物レンズのセル部分(ニコンさんごめんなさい)も一緒に並べてみまました、双眼鏡を裏から見ています。白い樹脂の中にある丸穴のアルミ部品がプリズムホルダーでその下の黒いのがヘリコイドです。少しずつ、へそ曲がりな双眼鏡ができてきました。
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樹脂部品ユニットです、内側は植毛紙を貼ります。
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裏側です、3本のネジが光軸調整用です。
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