2013年02月

アミチプリズムを入手したので先日から考えていた案が機能する事を確認しました。
入手したプリズムの中身で有効径は実測で27mmです。その下にある小さなのはカメラ用アングルファインダのアミチプリズムで、今回作る双眼鏡のファインダー用として使うつもりです、このサイズだと実光路長は15mmくらいで、バックフォーカス46mmのカメラレンズの後ろに余裕で付きます。
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 これから作るアミチ光学系の性能検証のため、双眼鏡の光路がどのようになっているのか調べます。これは以前笠井Tが販売していたロシア製HCビノの光路で、アイピースの対物側レンズ口径が26mmもあり視野角70°アイリリーフも十分という仕様です。
黒線はHCビノで像面での100%光量径はほとんどゼロです、対物側のプリズム径が小さいためです、しかし周辺が暗い感じはほとんどありません。HCのポロプリズムを同サイズの90°アミチに変えると青線のようになります、100%光量径が10mm以上取れ、周辺も1.5倍ほど明るくなります、又プリズム通過長が1/3ほどに短くなるので色収差もだいぶ少なくなるはずです。
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今回の双眼鏡でキーになるオフセットアミチ(適当に付けた名前です)の光路です。
対物側とアイピース側の光軸をアミチプリズムを中心にそれぞれ3.5mm上下にオフセットさせます、こうする事で両方の鏡筒合計で14mmの目幅を稼げ、最小目幅60mm+14mm=φ74mmくらいまでの鏡筒を双眼鏡用として使えます。90°アミチは正立系プリズムの中では最も光路が短いので色収差上も有利で、ポロなどに比較するとプリズム面をアイピースに近い位置にセットできるのでプリズム面凹凸の影響も小さくなります、又ダッハ(稜線)が視野中心からずれるので高倍率でも線が邪魔にならず面の直角加工精度の問題も回避しやすくなります、軽量コンパクトな事も見逃せません。概算確認したところではこのプリズムでφ75くらいの鏡筒までは使えるような気がします。
今回の対空双眼鏡の左側ユニットを上から見た図です。黒線が対物レンズ、青線が90°アミチプリズム、緑線がアイピース、赤点線が光軸です。
何の問題もなく最後までいけるか、これからが楽しみです。
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今日1本中古を入手しました。
30年くらい前の初期のニコンED300/F4.5Aiです、かなり使い込んであって分解痕もあります。昨今のものと違ってシンプルな形状構造で外観にネジ類が沢山見えます、容易に分解できるという事です。ニコンのこの種のものは主レンズ/フォーカス/絞り/部分が簡単に3分割できるようになっており、さらに後群レンズからのバックフォーカスが長いので色々な光学系を組み込む事ができます、光学老人向けです。
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早速簡単な目視チェックをおこないます。
いつも使っている電信柱の碍子に書いてある文字をみます「NGK95-1」の文字が楽に読め、文字の狭い間隔も何とか認識できました。シグマ500mm/F4.5は文字が読めません、ニコン600mm/F4だと楽に読め文字の狭い隙間もきちっと見えます、色収差が目立ちます明るいアクロマート望遠鏡と同じ位かもしれません。周辺像は当然OKです、マズマズの性能です。多分60倍位までリニアに分解能が上がりそこで飽和する感じです。人工星を使って焦点内外像もチェックできると良いのですが面倒なので又の機会にします。
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外形寸法を測定し分解です、左が主レンズでF1.8くらい、600mm/F4レンズと同じ数値です、カビはありません。Fの小さなレンズはまさしく「玉」なので宝物と同じです。右はフォーカス部です、フォーカスリングのグリスが乾いているので何とかしたかったのですが危険なのでやめました、これ以上分解するとフォーカスレンズユニットの光軸調整がずれそうです。主レンズ部のフード込外径はφ80ですが、フードとその取り付けベースを取り払うとφ72mmになります、外形は極力小さくしたいのでフード無しで進める事にします。両ユニットの合計質量は575gなので双眼鏡としては1.5kgくらいで仕上がる可能性があります。ビクセン80mm、ニコン70mm双眼鏡は2~2.5Kg、ビクセンED70mm対空双眼鏡は3.4Kgです、これらに負けたくはありません。ところでビクセンのBT-ED70S-A対空双眼はF5.7EDなのでかなり良く見えそうな感じでC/Pも非常に高いと思います。もし2インチ対応できればかなり強力だと思います(31.7mmでも十分強力そうですが)頑張れビクセン!ついでにビクセンの本社は埼玉県所沢にあり、ビクセンとは何の関係もない私の家から数キロの近さです。
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寸法を測定したので光路図を書いてみました。像面の100%光量面径は普通の双眼鏡とほとんど同じでφ3mmほどでした、普通の望遠鏡の様に100%光量径をφ10mm以上もとる事は不可能です。わずかの明るさ向上よりも中群、後群のレンズ径と絞りを小さくしてコントラストとシャープさ、小型化軽量を優先させたのでしょうか。ついでなので35mmフィルム換算の角部分、φ43mm点(イメージサークル)の明るさを光路図から類推すると、中心比較で40%弱の感じでした、これでも全面ほぼ均一な明るさに見えるという事なのでしょう、双眼鏡でも同じ問題があるので参考になります。後群レンズからのバックフォーカスは130mmほどなので90°正立系を余裕で組み込めます。
これで低レベルなリバースエンジニアリング関係は終わりです。
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はじめに
軽量ドブソニアンは当面ミラー入手できないのでで何ヶ月か棚上げです、脳筋肉柔軟性維持のため、かわりに手持ち小型対空双眼鏡を自作します。
 青字は最終仕様

概要
望遠鏡同等の光学性能を持つ手持ち可能な双眼鏡
対物径60mm以上、アイピース交換式、90°対空双眼鏡、質量は2Kg以下。どうしたら「ぶれない」で手持ちできるのか?
同じ天体でも違う側面を見られるという点で、倍率範囲は広い方が良い、瞳径7mmは必要?

対空方式の比較
1.EMS: 色収差なし、大きく重い、自作面倒、周辺減光少、完成品は高価
2.アミチプリズム: 鏡筒径φ55mmが限度、視野中心に稜線が見える、等高倍率比較的苦手、周辺減光少ない
3.ポロプリズム類組み合わせ: 大きく重い、周辺減光大、色収差大、眼幅調整容易
4.アミチ+段違式: 手持ち双眼鏡になりにくい、Fの小さいレンズだと周辺減光大?
5.31.7mmアミチプリズムをオフセットして使用:鏡筒径φ75まで可能、周辺減光比較的少ない、2インチ何とか可能、シンプル軽量、色収差比較的少ない、ユニーク

フォーカサ比較
1.望遠鏡用:大きすぎ
2.双眼鏡用改造:対空しだと役に立つ部品が少ない
3.カメラレンズ:鏡筒に内臓なので加工が簡単だがレンズ性能不足
4.抜き差し式:操作性がイマイチ
5.自作:精度自信ない
6.ヘリコイド式:小型軽量、双眼鏡で使うには芯精度が不足
7.φ60EDニコンフィールドスコープ流用:鏡筒内臓で加工簡単だが少し大きい
 

対物レンズ比較
1.カメラレンズnikon ED300/F4.5:対空双眼鏡としては全長20cm質量1.5Kgほど、意外と色収差多いが4cmまで絞ればかなり改善される、像面はフラット、最高倍率は40~60くらい、Fが小さいので低倍率が得やすい
2.望遠鏡:像質良いが長く重い、高価、良くて当たり前の世界なので選択したくない
3.双眼鏡流用:各種収差大きく高倍率は無理、フラットナー付きED改造なら目はあるがφ60mmクラスはない
4.φ60EDフィールドスコープ流用:各種収差はED望遠鏡に近い、100倍くらいまで使えそう、フォーカス付き、意外と大きく重い、双眼鏡としては全長32cm/質量は2~2.5kg、大きすぎ、バックフォーカスぎりぎり
5.φ60EDフィールドスコープの前群を使用:F4.4、中心は非常にシャープ色収差は少ないが周辺は歪む,低倍率可能、全長24cm質量1.5Kgの良く見える対空双眼鏡ができそう
 
参考:カメラレンズのインナーフォーカスタイプは、光軸の維持という点で、ニコンED180/F2.8やキャノンFD300/F5.6、FD200/F4のようにレンズユニット全体を移動させるタイプに比較するとかなり不利な気がします、キャノンFD200/F4はアクロマートですがFが比較的大きいので色収差も少ない上に昼食費くらいで入手できます、ファインダー用としてこれ以上の物はないと思います、使っている人を見たことはありませんが。

目幅調整
シンプルなアリ溝スライド式
アリ溝スライド式目幅60~70mm

光軸調整
調整機構がないと光軸維持できない、構造は?
3点調整

アイピース
1.2インチ:重い大きい、フィールドスコープ用:軽く性能も良いが一式そろえると高額、31.7mm:低倍率苦手
2.Fの小さい対物と31.7mmの組み合わせで低倍率を得る

三脚対応
カメラ用エレベータ付き小型三脚を片持ちフォークもどきに改造

費用など
ドブソニアンで使いすぎで予算がない、手持ち部品、中古、ジャンク部品活用

以上考慮し以下カメラレンズ案の感じで進める・・・と思いましたが「フィールドスコープ改造」に変更します。  
 
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10年近く前に作ったEMS双眼鏡です。
当時宮内φ77mmを持っていて、もっと良く見えるものということで作ったものです。
鏡筒シグマ500mm/F4.5アポクロマート望遠レンズをぎりぎりまで切り詰めても光路長不足なので、アイピースも限界まで切り詰めてあります。鏡筒は短縮化を優先させているようで結像性能はあまりよくありません、低倍率で使用します。色収差と周辺までのフラットさ以外は市販の100mmアクロマート双眼鏡とどっこいの性能と思います、全長320mm質量5.6kgで小型軽量で全体のフォルムはいい感じです。
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上から見たところです。
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これは左右分割したところです。目幅はアリ溝構造でスライドさせます。肝心の鏡筒平行度維持の強度が不足している事が後でわかりEMS取り付け部に補強部材を追加しました、泥縄案です。
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垂直回転軸です。
構造がイマイチでスムースさがありません、アームも強度不足で振動が多めでした。
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正立化させるためのEMSです、ハウジングは樹脂です。
EMSはたしかEnhanced Mirror Systemの略で正立ミラーシステムの事です、広島の松本様が考案され特許取得、商品化されています。なるほどと思うような構造で、わかって見ればたいした事はありませんが、ガリレオ以来何百年間だれも思い浮かばなかったシステムですのですごいと思います。まだまだ価値あるシステムが誰にも知られず眠っていて目覚まし時計の鳴るのをまっているんでしょうね、そう思うだけでわくわくします。
レベルの低い話に戻ります、EMSは加工精度が高ければ調整機構不用と考えたのですが、浅はかすぎました、低倍率双眼鏡でさえ何箇所も調整機構があります。しかたないので低倍率で何とか使用しています、基本的なところが何箇所も不出来なので不具合を改善する気力がわきません、色々勉強になりました。
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十字線取り付けです。
なぜか絞りが像面位置からずれているので絞りを取り出さないと線の取り付けができません。
絞りは樹脂でロックされていて簡単には外れないのでジャンクノギスを改造し取り外しジグを作りました(右下)。
絞りの像面位置まで切り込みを入れ銅線φ0.07mmを張ったところです(左下)。
軽量化のためアイピースの外側を削ろうと考えていたのですが対物側のレンズがφ37mmもあってほとんど無駄肉は無い様です(右上)。
 
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鏡筒にファインダーを付けたところです。
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