振動センサのS/Nを改善し、スピーカ箱の振動データを取り直してみた。
1.3Lの箱に8cmのスピーカを付け、裏板の振動を調べたのが以下。
ネット上には色々な振動に関する情報がある、何が正しくて何が間違っているのか分からない、以下内容も間違っている可能性がある、違うところをどなたか指摘していただけるとありがたい。

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箱とSPの間にシリコンチューブを入れると800Hzのピークが抑えられ全体の振動は以下のようになる。
箱の縦横奥行寸法に見合う共鳴音と思われるピークが1~2kHzの間に3か所残る。
800Hzの振動は劇的に下がるが、チューブを介した箱とSP間の共振が170Hz位で高い、もっと柔らかいチューブを使用し共振は50Hz以下にするのが良い。
うまくチューニングすれば箱振動を劇的に減らせるが、超低音域の過渡応答という点では少し問題が残りそうな気がする。
30年位前には同構造の物が幾つかあったと思うが今は?

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二個のSPを向かい合わせパイプでつなぎ逆相でドライブするとSPから出る音が箱の中だけで収束するので箱の振動音をマイクで拾ったり、耳で聞く事ができ、問題の大きさが大雑把に把握できる。

マイクで拾った測定結果は振動センサを使用したものとほぼ一致する (加速度センサは6dB/octで高域減衰するタイプの出力なのでその補正をして、マイクと比較した場合)

実験でわかった事だが、接続パイプが無くても逆相ドライブしているSPを近接で向かい合わせるだけで、振動板(コーン)から出る音をかなり吸収できる。だれでも簡単に箱振動の音を聞く事ができるし、マイクがあればその音を拾い分析する事もできる。近接させるとコーンの分割振動領域の干渉音がでるので、中間に吸音材を置く方が良い。


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SPを箱の外に付け二個を背中合わせで接続し同相でドライブするとSPコーンの振動が打ち消され、箱内部の空気共鳴の影響などだけを知ることができる・・・と思う。
以下はそのデータ。

対向SP構造にすれば1kHz以下の振動を15dBほど下げられるようだが、箱内部の音響共鳴音だけを取り出すのは難しい。

二個のSPは微妙に性能が違うのとマグネットの質量が倍に見えたり等の影響で(多分)振動モードは少し複雑になり、振動解析の精度向上という点でみればあまり良い方法ではない。

SPの音質向上という点ではそれなりの効果はありそうだ。

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どうもSPのフレームが振動原因の一部になっているようなので調べてみた。
比較用に準備したdiatone DS-5BのWFはアルミダイカストフレームで丈夫、振動も少ないが、東京コーン8cmは結構振動(フレームがゆがむ)が出る。これが上述700Hz振動の主要因という事のよう。

両者の800Hz以上のカーブが奇妙に一致しているのは、何かあるのかもしれない。
バイスとSPを機械的に強固に接続するのは困難だったので、その辺に要因があるのかも。

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箱を木材で補強してみたが1~2kHzの振動が6dB位下がる以外大きな効果はなかった。

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振動は箱の構造、材質、どんなSPを使用するかで変わるので低減方法はそれぞれに適した方法をとるのが良さそう。
たとえば柔らかなフレームのスピーカを丈夫な箱に入れるのは今一だし、その逆も今一な感じがする。
球形の箱に入ても振動がなくなるというものでもなさそうだし、内部共鳴も残りそうな気がする。
結局地道に対策を積み重ねるしかなさそうだが、高い精度で振動測定できる事は大きな助けになる。

                                                         続く